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更新料を払ってもらえるの?


紹介判例:最判平成23年7月15日民集65巻5号2269頁

1 事案の概要

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2 問題点

①更新料条項は、消費者契約法10条により無効となるか?

②本件の更新料条項は無効となってしまうのか(更新料を払ってもらえるのか)?

消費者契約法10条(消費者の利益を一方的に害する条項の無効)

民法 、商法 (明治三十二年法律第四十八号)その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し、消費者の権利を制限し、又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第一条第二項 に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。

3 裁判所の判断

(1)更新料条項については、一般的には賃借人の義務を加重するものであるとしました。

しかし、契約書に一義的かつ具体的に記載されていた更新料条項は、更新料の額が賃料の額、契約が更新される期間等に照らし高額に過ぎる等の特段の事情がない限り、消費者契約法10条は適用されないと判断しました。

(2)本件での更新料条項について消費者契約法10条により無効とならず、借地借家法30条からも無効とならないとしました。

・参考

借地借家法30条(強行規定)

「この節の規定に反する特約で建物の賃借人に不利なものは、無効とする。」


この節:借地借家法第三章「借家」の第一節「建物賃貸借契約の更新等」(26条―30条)のこと。26条(建物賃貸借契約の更新等)、27条(解約による建物賃貸借の終了)、28条(建物賃貸借契約の更新拒絶等の要件)、29条(建物賃貸借の期間)という規定を置くが、更新料について明示的に定めた規定はない。

4 判断のポイント

更新料条項を無効としないためには、賃貸借契約書に一義的かつ具体的に記載されていることが必要とされました。

また、更新料の額について、賃料の額や賃貸借契約の更新時間等から考えて、高額すぎないことも必要であるとされました。

5 本件の詳細

本件の契約書には、①「契約を更新するときは、これが法定更新であるか、合意更新であるかにかかわりなく、1年経過するごとに上告人(賃貸人のこと)に対し、更新料として賃料の2か月分を支払わなければならない」、②「入居期間にかかわりなく、更新料の返還、精算等には応じない」との条項が記載されていました。

裁判所は、この更新料条項の記載は「一義的かつ明確に記載されている」と評価しました。また、その内容(金額・期間など)からすると、高額に過ぎる等の特段の事情は存在しないとしました。更新料条項は有効と判断され、賃貸人の主張が認められました。

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